不動産・物件民泊ビジネス

知らないと損する民泊の確定申告・節税対策5選

不動産・物件

副業で民泊(Airbnbなどの短期賃貸)を始めるサラリーマンの皆さん、税金対策は万全でしょうか?本業の給与は会社が年末調整してくれますが、副業収入については自分で確定申告を行わないと**「知らない間に損をしていた」**なんてことにもなりかねません。適切な手続きを怠ると余計な税金を支払ったり、ペナルティを科されたりする可能性もあります 。しかし基本を押さえれば、確定申告も節税対策も決して難しくありません。この記事では、民泊副業の税金で損をしないためのポイントを5つ紹介します。初心者の方でも具体例を交えながら解説していくので、「これなら自分にもできそう!」と思えるはずです。

1. 副業民泊でも確定申告は必要!基本ルールを確認

まず押さえておきたいのは、副業であっても一定以上の民泊収入があれば確定申告が必要だということです。本業がサラリーマンで給与所得がある場合、民泊による利益(収入-経費)が年間20万円を超えたら確定申告をしなければなりません 。例えば年間の民泊収入が50万円で経費が30万円なら、差引20万円の利益となり、この場合も確定申告が必要です(20万円ちょうどは超えていないため不要ですが、1円でも超えると対象になります)。逆に経費を差し引いた利益が20万円以下であれば、所得税の確定申告義務はありません。

ただし「20万円以下なら申告不要だから放置でOK」というわけではない点に注意しましょう。たとえ所得税の申告義務がなくても、自治体への住民税申告は必要になるケースがあります 。また、利益が出ていなくても青色申告特別控除など節税上のメリットを得るためにあえて申告するという選択肢もあります。いずれにせよ、民泊副業を始めたら毎年自分で収支を計算し、必要に応じて確定申告を行う習慣をつけましょう。無申告のままだと後々税務署から指摘を受け、本来納める税金に加えて重い延滞税や無申告加算税を課されるリスクがあります 。安心して副業を続けるためにも、まずは**「20万円ルール」**を頭に入れて正しく申告しましょう。

2. 所得区分の違いを知ろう:雑所得・不動産所得・事業所得

民泊で得た収入がどの所得区分に当てはまるかによって、受けられる税制メリットが変わります 。一般的に、副業の民泊収入は**「雑所得」「事業所得」、場合によっては「不動産所得」**に分類されます。基本的には事業の規模や継続性によって判断され、小規模で断続的な民泊運営なら雑所得、大きな利益が継続している本格的な運営なら事業所得とみなされる傾向です 。自宅の一室を時折貸す程度なら雑所得、物件を複数活用して本業並みに運営しているなら事業所得、とイメージすると分かりやすいでしょう。

雑所得に分類されるケースでは、税務上の扱いが少し不利になります。雑所得は他の所得区分と違って青色申告の制度が使えず、仮に赤字(損失)が出ても本業の給与所得と相殺(損益通算)することができません 。一方で事業所得不動産所得に分類されれば、青色申告による特典が使え、仮に民泊事業が赤字になった場合にその損失を給与所得と相殺して所得税の負担を減らすことも可能です 。つまり**「事業所得扱いにできるか」が節税上とても重要**なのです。

では民泊収入を事業所得として申告するにはどうすれば良いでしょうか?明確な線引きは難しいですが、税務上は営利性・持続性があり、規模も一定以上であれば事業所得と認められやすいとされています 。具体的には「ほぼ毎週のようにゲストを受け入れている」「清掃や予約管理など運営に自らかなり労力を割いている」「帳簿をきちんと付けている」といった場合は事業的規模と判断される可能性が高まります 。反対に、たまにしか貸さない、収益も安定せず趣味的な範囲に留まるなら雑所得と判断されるでしょう 。中には、もともと不動産賃貸業を営んでいる人が空室を民泊利用する場合など不動産所得に含めて差し支えないケースもあると国税庁は示しています が、特殊な場合を除けばサラリーマンの民泊副業では雑所得か事業所得のどちらかになることがほとんどです 。

ポイントは、事業所得や不動産所得として申告できれば節税効果が高いということです。青色申告の活用や損益通算による税負担軽減が期待できるため、規模を拡大する計画があるなら事業的と認められる運営を心がけましょう 。とはいえ、無理に事業所得にしようとしても実態と合わなければ認められません。ご自身の民泊の規模・実態に即した区分を選び、必要なら税務署や税理士に相談して判断すると安心です 。

3. 青色申告をフル活用!経費計上できるものは?

民泊副業で節税する上でぜひ検討したいのが青色申告です。青色申告とは一定水準の帳簿付けなど条件を満たした事業者に与えられる特典で、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、損失の繰越控除(赤字を最長3年間繰り越せる)や家族従業員への専従者給与の経費算入など様々なメリットがあります 。民泊副業が事業所得または規模の大きい不動産所得として認められれば青色申告の申請が可能です。例えば事業所得として青色申告すれば、適切な帳簿を備えることで所得から65万円をまるごと差し引ける特別控除を受けられます 。これは利益が小さい初心者ほど節税効果が大きい嬉しい制度です。

また、必要経費に計上できる支出は漏れなく計上することで課税される所得を圧縮できます。民泊運営では意外と経費にできるものが多く、工夫次第で節税につなげられます 。代表的な経費の例をいくつか挙げてみましょう。

  • 清掃費・管理費:ゲスト退去後の清掃代行費用や、物件管理を業者に委託している場合の管理委託料は経費になります 。自身で清掃した場合も、清掃用具や消耗品の購入費用は経費計上可能です 。
  • 水道光熱費・通信費:民泊物件でかかる水道代・電気代・ガス代は水道光熱費として経費計上できます 。Wi-Fi設置やゲスト対応用の電話を導入していれば、その通信費も経費です (自宅と共用している場合は使用割合で按分)。
  • 旅費交通費:物件の様子を見に行ったり備品を買い出しに行ったりする際の電車代・ガソリン代などは交通費として落とせます 。地方で民泊を運営している方が定期的に現地に赴く場合の旅費も対象です。
  • 減価償却費:エアコン・家具・家電など比較的高価な備品は、一度に全額経費にせず耐用年数に渡って費用配分する減価償却費として計上します。物件そのものを所有していれば建物本体やリフォーム代も減価償却の対象です。初年度に大きな設備投資をした場合、減価償却による赤字計上で給与所得と損益通算し節税できる可能性があります。

この他にも、仲介手数料(プラットフォームに支払う手数料)や保険料(民泊保険など)、関連セミナーの参加費や書籍代 など、民泊収入を得るために直接必要な支出は幅広く必要経費にできます 。大切なのは「何が経費になるのか」を把握して領収書やレシートをきちんと保管しておくことです 。確定申告時に領収書の提出自体は不要ですが、後日税務署に説明を求められた際に示せるように整理しておきましょう。青色申告であれば複式簿記での帳簿作成が必要ですが、近年は会計ソフト も充実しており、手間を省きつつ経費漏れを防ぐことができます。経費を味方につけて、しっかり節税につなげましょう。

4. 利益が大きくなったら法人化も検討:目安は売上1000万円・利益500万円超

民泊副業が順調に成長し、収入が増えてきたら法人化(会社設立)による節税も視野に入れましょう。一般に、個人事業のままだと所得が増えるほど税率も上がる累進課税ですが、法人にすると税率は一定で経費にできる範囲も広がるため、ある程度利益が出ている場合は法人化した方がトータルの税負担が下がる可能性があります 。具体的な目安としては、年間の事業利益がだいたい500万円を超えるあたりで法人化による節税メリットが出てくると言われます 。副業であっても課税所得(収入-経費)が500万円を上回ってきたら、一度法人化した場合の税額シミュレーションを検討してみる価値があります 。実際、個人の所得税・住民税は最高で合計55%(所得税45%+住民税10%)にも達しますが 、中小法人の法人税・地方法人税の実効税率は30%前後(800万円以下の所得部分はさらに低率)です。利益規模によっては個人で55%課税されるより法人で30%課税される方が有利になるため、一定以上稼げるようになったら法人化が節税への近道となり得るのです 。

また、年間売上が1,000万円を超える規模になった場合も法人化のタイミングです 。売上1,000万円超の個人事業主は2年後から消費税の納税義務が発生しますが、法人を新設すれば原則として設立後最初の2期(最大2年間)は消費税が免除されます 。例えば個人のままだと消費税を納めなければならない状況でも、資本金1,000万円未満の法人を設立すれば消費税の納税をさらに2年間猶予できるわけです 。この消費税の免税メリットもあり、売上規模が大きくなった場合は法人化による節税効果が一段と高まります。

法人化すると他にも、代表者である自分に支払う役員報酬を経費にできる、交際費や福利厚生費の枠が広がる、といった節税メリットも出てきます 。ただし、法人化には設立・運営コストがかかるため、誰もがすぐに会社にすべきというものではありません。「利益◯万円以上なら絶対お得」と一概には言えませんが、500~800万円前後の利益規模が一つの目安です 。その頃になったら税理士に相談し、自分の副業収入と本業給与を踏まえて本当に法人化すべきかシミュレーションしてみるとよいでしょう。

5. 法人化する際の注意点:赤字の扱いと固定費に要注意

法人化は節税効果が高い反面、注意すべきポイントもあります。メリットばかりに目を奪われず、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

  • 個人と法人の損益は通算できない:個人事業であれば、副業民泊が赤字の年はその損失を給与所得と相殺して税金を減らすことができました(事業所得や不動産所得の場合) 。しかし法人にしてしまうと、民泊事業は会社の損益となり、自分個人の給与所得とは完全に切り離されます。仮に法人で赤字を出しても、それを自分の給与の税金から差し引くことはできず、法人内で繰越して翌期以降の黒字と相殺するしかありません。「今年は設備投資で大赤字だけど本業給与と損益通算できるから税金が安くなる」という個人事業のメリットは、法人化すると享受できなくなるので注意が必要です。
  • 赤字でも発生する税コスト:法人を設立すると、たとえ利益がゼロや赤字でも毎年法人住民税の均等割(最低税額)が課されます。これは会社が存在するだけで発生する固定税で、例えば資本金1億円以下の中小法人なら年7万円程度(自治体により多少異なる)の負担です 。一方、個人事業主で赤字の場合は所得税も住民税も発生しません 。つまり会社にすると「税金ゼロ」の年がなくなる点に留意しましょう。利益が少ないうちは、この固定費がかえって負担になる可能性もあります。
  • 社会保険料や事務負担の増加:サラリーマンが副業で会社を作ると、本業の給与とは別に会社から役員報酬を受け取る形になります。その結果、自分の給与にかかる社会保険料が増えたり、会社としてもその半額を負担する義務が生じます 。また、決算や確定申告の手続きも個人事業より格段に煩雑になり、税理士費用などのコストもかかりがちです 。副業を会社運営にすると時間的・金銭的コストが増える点にも注意しましょう。

以上のように、法人化すれば何でも経費にできて税金ゼロ!という極端な話ではありません。「攻めの節税」の裏にあるリスクやコストも理解した上で、それでもメリットが上回ると判断できる場合に法人化を選ぶことが大切です。特に赤字の扱いと固定費負担については見落としがちなので、事前によくシミュレーションしてください。

まとめ

サラリーマンが民泊副業を始める際の確定申告と節税対策のポイントを5つご紹介しました。副業とはいえ税金面を疎かにすると**「知らないと損する」**どころか思わぬペナルティにつながることもあります。しかし、ここで挙げた基本を押さえておけば必要以上に恐れる必要はありません。20万円を超えたら確定申告を行い、所得区分を意識して有利な申告方法を選択しましょう。経費計上や青色申告の特典をフル活用すれば、サラリーマンでも驚くほど税負担を減らすことができます。収入が大きくなってきたら法人化も含めた節税策を検討しつつ、メリット・デメリットを踏まえて賢く選択しましょう。

最後に、税制は改正がつきものです。特に副業に関する税ルールは今後変更が加わる可能性もありますので、最新情報のチェックも欠かさないようにしてください。必要に応じて税理士等の専門家に相談するのも有効です。正しい知識と対策さえ押さえれば、民泊の確定申告は怖くありません。ぜひ今回の5つのポイントを参考に、**「自分にもできそう!」**と自信を持って民泊副業に取り組んでみてください。税金を味方につけて、あなたの民泊ビジネスがさらに実りあるものになることを応援しています!

参考資料:

  • 国税庁『No.190 「確定申告を要する者」』(給与所得者の副収入20万円超は要申告)
  • 小谷野税理士法人「民泊を個人事業主として始めるメリットは?経費や確定申告も解説」(所得区分による節税効果の違い)
  • freee会計『Airbnbは雑所得?不動産所得?確定申告方法について解説』(民泊の経費例や所得区分の基準)
  • 弥生株式会社「サラリーマンでも会社設立は可能?節税メリットや注意点を解説」(法人化の目安と注意点)
  • 国税庁『住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について』(民泊収入の不動産所得該当例)

弊社紹介

弊社「株式会社グラディア」では、管理委託を受ける場合、本当にその方の物件が収益を出せるかを厳しく見極めたうえでお引き受けしています。現在は管理委託の人数を制限していて、お客様にコミットして一緒に育てていくという方針なんです。やみくもに管理費だけをもらうようないい加減なマネジメントは一切していませんので、「自分の物件はどうかな…?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。